目次
はじめに
今回はIT導入補助金の交付申請に必要な情報を説明します。特に注意すべき箇所についても明記しましたので、ご活用いただければと思います。
IT導入補助金申請の前に、まずは、貴社がIT補助金の対象かどうか、以下の記事でご確認ください。
IT導入補助金申請の事前準備が完了していない場合は、以下の記事をご確認の上、まずは事前準備を進めてください。
IT導入補助金の申請依頼
IT導入補助金の申請をするには、まず、ご利用予定のITツールの提供会社に依頼して、申請ページを開設していただく必要があります。
申請ページの開設には、担当者のメールアドレスが必要ですすので、まずは、貴社の誰がIT導入補助金の担当者となるか決定し、その担当者のメールアドレスをITツールの提供会社に連絡してください。
申請ページが開設されると、担当者のメールアドレスにメールが届きます。そのメールの指示にしたがって、申請ページにアクセスしてください。
IT導入補助金の申請に必要な情報
IT導入補助金の申請時に入力する必要がある項目はかなり多岐に及びます。
一部は、履歴事項全部証明書に記載されている内容ですが、履歴事項全部証明書と申請ページで入力した内容が完全に一致しない場合、不採択になってしまいますのでご注意ください。
また、従業員数など履歴事項全部証明書に記載されていない内容もありますし、今後の売上予想などを立てるために必要な情報もあります。履歴事項全部証明書に記載されていない項目について説明しますので、事前にご準備されることをおすすめいたします。
従業員に関する情報
まずは、従業員の内訳が必要です。
- 正規雇用の従業員数
- 契約社員数
- パート、アルバイトの数
- 派遣社員数
- その他の従業員数
役員に関しては役員の数だけではなく、役員の氏名も入力する必要がありますが、これは履歴事項全部証明書に記載されているはずです。ただし、役員の氏名が履歴事項全部証明書と一致しない場合、不採択になりますので、ご注意ください。
従業員数は、
- 「基本情報」では現在の従業員数・内訳
- 「財務情報」では前期決算期および前々期決算期の従業員総数
を入力する必要があります。
「基本情報」の従業員数は役員以外全員であるのに対し、「財務情報」の従業員数は、役員だけではなく、派遣社員、その他を含まない人数ですのでご注意ください。
「財務情報」では従業員の数だけではなく、
- 正規雇用の従業員
- 契約社員
- パート、アルバイト
の前期決算期および前々期決算期の年間平均労働時間の入力が必要です。
IT導入補助金では「労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上」の数値目標を作成する必要がありますが、この労働生産性の計算に労働時間が重要になります。正しい数字を入れないと数値目標が立てられなくなりますのでご注意ください。
さらにIT導入補助金では300万以上の補助を申請する場合、
- 事業計画の作成
- 給与支給総額を年率1.5%以上増加させる
- 賃金引上げ計画を従業員に表明
が必須になり、また300万未満の場合は、これらを行っていれば加点項目になりますので実行すべきです。
その場合、直近決算期および将来4年分の給与支給総額も必要になります。給与支給総額は従業員だけではなく、役員報酬も含まれます。また、給料だけではなく、賞与も含まれます。
売上・利益に関する情報
- 売上高
- 営業利益
の登録も必要です。営業利益に関しては、前期決算期および前々期決算期で十分ですが、売上高については、前々期の一期前も必要ですので、過去3年分のデータが必要です。
IT導入補助金の審査に重要な情報
基本情報の事業内容
まず、「事業内容」はかなり重要です。
事業内容という項目になっていますが、実際は、
自社の事業概要を説明し、今回の補助事業で導入するITツールをどのように活用するのかを具体的に記載してください。
とある通り、ITツールの活用方法を明記する必要があります。
なぜ、今回ITツールを導入しようと思ったのかを今一度思い出していただき、どのように活用していく予定かをしっかり記入してください。
経営状況
「経営状況」についての項目はどれも重要ですが、首尾一貫した回答が何よりも重要です。
虚偽の登録は絶対に行ってはいけませんが、たとえば、「経営理念・ビジョン」について、
- 経営理念を作成しているところである
- 経営理念はもっていない
- 特に意識したことがない
- わからない
などの回答だと、採択されるのは難しいのではないかと思います。
また、「経営意欲」についても
- 事業の売却・整理・廃業を考えている
- 特に意識したことがない
というような回答ですと採択は難しいと思います。
かといって「事業の拡大に積極的」を選択しても、先に入力した3年分の売上高が伸びていないと虚偽の申告とみなされる危険性もあります。
IT導入補助金で300万以上の補助を申請する場合、事業計画の作成は必須ですし、300万未満の場合は、事業計画があれば加点項目になるため、補助金額によらず事業計画を作成するべきです。事業計画を作成し、「事業計画の有無」では、
- 課題を明確にして、事業計画が作成されている
- 事業計画が作成されている
のどちらかが選べる形にすべきです。
「セキュリティの状況」の選択肢は、
- 緊急時のマニュアルや手順を決め、定期的に訓練を行っている
- パソコンやサーバなどには、IDやパスワードを設け情報セキュリティ管理を行っている
- セキュリティ対策は講じていないため、対策を講じていく
- セキュリティ対策を講じておらず、今後もその予定はない
の4つですが、IT導入補助金の事前準備として、SECURITY ACTIONに同意しているはずですので、下2つを選ぶのはNGです。一番上の選択肢がもちろんベストですが、それを選択できるのであれば、SECURITY ACTIONの2つ星が獲得できるはずですので、1つ星ではなく2つ星を獲得してください。
申請類型について
どの申請類型で申請すべきかは、そのITツールを導入する理由を考えれば、自ずと明らかになると思いますが、今年はわざわざ特別枠の「C類型」が新設されていますし、AおよびB類型の補助率が2分の1のところ、C類型では最大4分の3であることを見ると、事務局もC類型に力を入れたいというのが本音だと思います。
C類型の場合、
- 甲:サプライチェーンの毀損への対応
- 乙:非対面型ビジネスモデルへの転換
- 丙:テレワーク環境の整備
に分けられていて、甲の目的の場合は3分の2、乙もしくは丙の場合は4分の3ですので、おすすめはC類型で乙もしくは丙ということになるのだと思います。そもそも弁護士事務所の場合、甲の目的はないと思います。
加点項目として「導入するITツールとしてクラウド製品を選定していること」と明記されていることから判断すると、C類型の丙が最も推奨されているものだと判断できます。
まとめ
IT導入補助金の申請のために必要になる情報をご説明しました。
売上や営業利益は過去の決算書があれば入力は可能ですが、従業員の労働時間や給与支給額なども入力する必要がありますので、事前に必要な情報を準備されることをおすすめします。
執筆者
株式会社カイラステクノロジー
IT導入補助金チーム
IT導入補助金2019から、毎年、IT導入支援業者登録し、法人だけでなく、
個人事業主の、IT導入補助金の申請および事業実施報告をサポートしています。
過去の申請の経験を活かした記事をご提供します。