目次
はじめに
IT導入補助金申請の公募要領の中から、注意した方が良い点をまとめました。
契約のタイミング
原則として、IT導入補助金の「交付決定」を受ける前に、
- 契約
- 発注
- 納品
- 支払い
を行った場合、補助金を受けることができません。
- ITツールの選定
- 見積もりの取得
- IT導入補助金の申請
- (交付決定)
- 契約
- 納品
- 支払
という順序で進める必要があります。
申請回数について
IT導入補助金2022の公募期間中、申請可能な回数は、1事業者あたり1申請のみとなります。
申請はIT導入支援業者(IT導入補助金に採用されたシステムを提供するサービス会社)を通して行うため、1つのサービス会社が複数のツール、サービスを提供している場合、複数のツール、サービスをまとめて申請できますが、そうではなない場合、複数のツールを一緒に申請することはできません。
したがって、複数のITツールの導入を予定している場合、補助金の額だけ考えると、一番コストがかかるツールについて申請するという結論になります。
IT導入補助金の申請は、期限を切って複数回行われています。
4月11日現在ですと、以下2回の公募が公開されています。
- 1次締切 2022年5月16日(月)17:00まで(予定)
- 2次締切 2020年6月13日(月)17:00まで(予定)
1次締め切りで不採択になったとしても、2次締め切りに再チャレンジすることが可能ですので、早目に動いてまずは1次締め切りまでに申し込み、万が一、不採択になった場合は、申請内容を見直して、2次に再度申し込むというのが最良の方法です。
支払いについて
支払いは、「原則銀行振込又は、クレジットカード1回払いのみとすること」と明記されています。
弊社で事務局に問い合わせたところ、
- 口座振替は不可
- 銀行振込の場合、事業実施期間内に支払いが完了するのであれば、一括でなくても可
という回答をえました。
すでに弊社システムArmanaをご利用で、口座振替により利用料をお支払いの場合、すでにお支払いいただいた口座振替分の利用料に関しては補助金の対象外となりますので、あらかじめご了承ください。
減点措置
IT導入補助金の審査で、加点もしくは減点される条件は公開されており、加点項目を複数ありますが、減点措置は2つだけです。
- 申請時点において、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)への交付申請が提出済である
- 申請時点において、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)への交付申請が提出済であり、なおかつ選択されているツールが会計・受発注・決済・EC 機能を保有するものであり、交付申請済の申請内容とツールの機能が重複している
労働生産性の目標
IT導入補助金の目的は、ITツールの導入により労働生産性を向上させることにあります。
そのため、労働生産性の数値目標を提出する必要があり、また、審査上も重要な指標になります。
労働生産性の数値目標自体は、システムを提供するサービス会社が作成することになっていますが、サービス会社は貴社の経営内容をしっかり把握していないと思いますので、実際は、貴社とサービス会社でしっかり情報共有しながら進めることになります。また、条件が厳しいため数字の調整にかなり手間がかかります。
労働生産性は、以下の式により定義されます。
労働生産性 = (売上 - 原価)÷ 従業員数 ÷ 年間の平均労働時間
労働生産性は1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上にさせることが必須になっています。
一方で、「事業計画期間において、給与支給額総額を年率平均1.5%以上増加」させることも求められています。弁護士事務所において、原価はほぼ人件費だと思いますので、原価を1.5%増加させつつ、3%の労働生産性を向上させる数値目標を掲げるのはかなり難しい話です。
以下のような形で数値目標を立てることになるかと思います。
売上に関しては、弁護士事務所の場合、弁護士が増えれば売上が増えると仮定して、以下の形で売上予想します。
- 現在の売上から、弁護士1人当たりの売上を計算
- 今後4年間の弁護士の採用計画を立てる
- 新規採用弁護士1人につき、弁護士1人当たりの売上を加算
さらにシステムを導入することによる効率化により、案件が迅速に解決されるという仮定で、売上の数値を上方修正します。
原価については、売上よりも簡単に算出できます。
- 人件費とそれ以外の固定費を分ける
- 弁護士、事務員それぞれの平均給与を計算
- 採用計画分の人件費を上乗せ
- 平均給与が1.5%以上増加するように人件費を上乗せ
平均労働時間に関しては、ITツールの導入により、効率は上がるはずですので、必ず現在よりも少なくなっている必要があります。
しかしながら、現状すでに残業も少なく、法定労働時間ギリギリ程度になっている場合、この数値を減らすことができません。
その場合、その分売上を上乗せする必要が生じます。
売上に関しても、労働時間に関しても、不可能な数値目標を出しても不採択になってしまいますので、慎重に検討する必要があり、IT導入補助金で一番時間がかかる作業になります。